【第一部】小説を書きたい!!何から始める?
登場人物
• 葛城 陽太(かつらぎ ようた)(30歳・会社員)
小説を書きたいと思っているが、なかなか書き始められない。文章を書くのが苦手で、物語の作り方がよくわからない。
• 水無月 玲奈(みなづき れいな)(27歳・小説家)
すでに何冊も本を出版している売れっ子作家。自由奔放な性格で、独特の価値観を持つ。小説を書くことに対して「楽しむことが何より大事」と考えている。
1. 「小説を書きたい!」と思ったあなたへ
──喫茶店「白昼夢」にて──
陽太「……で、どうすれば小説って書けるんだ?」
玲奈「急に核心に迫りすぎでしょ。コーヒーくらい飲んで落ち着きなよ。」
陽太「いや、もう焦ってるんだよ。小説書きたいのに、何を書けばいいかわからなくて。最初の一行すら出てこない。」
玲奈「あー、それはね。たぶん、最初から完璧なものを書こうとしてるからだよ。」
陽太「……でも、どうせ書くなら、ちゃんとしたものを書きたいし。」
玲奈「そんなこと言ってるうちは、たぶん一生書けないよ。とりあえず、どんなものでもいいから書いてみるのが大事。」
解説:まずは「何を書きたいか」を決めよう
小説を書くとき、一番最初に決めるべきことは 「どんな話を書きたいのか」 です。
ここで、よくある間違いは「完璧なプロットを作らなきゃ!」と思い込んでしまうこと。
でも、最初から細かいプロットを作ろうとすると、書き出す前に挫折してしまいます。
まずは、ざっくりと決めよう!
以下の質問に答えてみてください。
1. どんなジャンルを書きたい?(ファンタジー、ミステリー、恋愛……)
2. 誰が主人公?(年齢、性格、職業など)
3. どんなテーマにしたい?(成長、復讐、冒険、恋愛……)
4. どんなシーンを書きたい?(感動するシーン、衝撃のどんでん返し……)
この4つを考えれば、もう小説の土台はできています。
──再び、喫茶店にて──
陽太「なるほど……。でもさ、ジャンルとかテーマとか言われても、どう決めたらいいのか……。」
玲奈「それなら、好きな小説や映画を思い浮かべてみたら?」
陽太「好きな作品か……。ミステリーとか、あと、ハードボイルド系が好きかも。」
玲奈「いいじゃん。それなら、まずは『俺だったらこういう話を書きたい!』っていう作品を考えてみるといいよ。」
陽太「……そう考えると、ちょっとワクワクしてきたかも。」
玲奈「その気持ち、大事にしなよ。ワクワクするものを書くのが、一番楽しいんだから。」
2. 小説の書き方 〜基本の3ステップ〜
ステップ1:とにかく書き出してみる
小説の冒頭が決まらない……という人もいますが、最初は適当でOK。
まずは 思いついたシーンから書く のがコツです。
小説は必ずしも 「最初から順番に書くものではない」 んです。
「このシーン、絶対書きたい!」と思った場面から書くことで、モチベーションが上がります。
最初は順番なんて気にせず、思いついた部分を書いてみましょう。
ステップ2:キャラクターを深掘りする
小説で最も大事なのは 「魅力的なキャラクター」 です。
キャラクターがしっかりしていれば、物語は自然と動き出します。
キャラクターを作るときは、以下のポイントを意識しましょう。
• 名前(覚えやすく、作品の雰囲気に合うもの)
• 年齢・性別
• 性格(短気、冷静、おちゃらけ……)
• 過去(どんな経験をしてきたか?)
• 口調(一人称は?語尾のクセは?)
ステップ3:ストーリーの流れを考える
物語には 「起承転結」 という流れがあります。
• 起:主人公が問題や事件に直面する
• 承:その問題がどんどん大きくなっていく
• 転:物語の大きな転換点(どんでん返しやクライマックス)
• 結:結末(ハッピーエンド、バッドエンドなど)
この流れをざっくり考えたら、もう小説の骨格ができあがります。
──喫茶店のテーブルで──
陽太「なるほど……。でもさ、キャラクターってどうやって深掘りすればいいんだ?」
玲奈「好きなキャラの設定をパクるのもアリだよ。」
陽太「えっ、いいの?」
玲奈「もちろん! だって、プロの作家だって『このキャラの要素、いいな』って思ったら、自分なりにアレンジして使うし。影響を受けた作品があるのは、むしろ強みになるよ。」
陽太「それなら、俺も好きな探偵キャラを参考にしてみようかな。」
玲奈「いいじゃん! まずは楽しんで作るのが大事だからね。」
【第二部】小説を書く習慣を身につけよう──継続するための秘訣
──喫茶店「白昼夢」にて──
陽太「キャラの作り方がちょっとわかってきた気がする。でもさ、やっぱり一番の問題は……続かないことなんだよな。」
玲奈「まあ、それが最大の壁かもね。書き始めたはいいけど、途中で飽きたり、忙しくて時間が取れなくなったりして、結局書き終わらない……ってパターンは多いよ。」
陽太「そう! 俺も最初はやる気満々なのに、3日後には『また明日やろう』になって、そのままフェードアウトするんだよ……。」
玲奈「あー、それは『完璧主義』が邪魔してるんじゃない? 小説って、最初から完璧に書こうとすると続かないんだよ。」
陽太「でも、適当に書いたら、面白くならないんじゃないの?」
玲奈「それがね、逆に『適当に書く』くらいのほうが、結果的に面白くなることが多いんだよ。」
「書きたい!」を「書ける!」に変える習慣
「小説を書きたい」と思っても、書けない人が多いのは 「書く習慣」がないから です。
でも、大丈夫。
習慣さえ作れば、 誰でも小説を書き続けることができます!
書く習慣をつける3つの方法
① 毎日10分だけでも書く
「1日◯文字書かなきゃ」と決めると、プレッシャーで続きません。
まずは 「毎日10分だけでも書く」 ことを意識してみてください。
たとえ1行でもOK。
とにかく「毎日パソコンやノートを開く」ことが大事です。
② スマホのメモアプリを活用する
「あ、このアイデア使える!」と思ったときにメモを取るクセをつけましょう。
メモを貯めておけば、いざ書くときにスムーズに進められます。
③ 途中で止まってもOK!
「書きたいけど、途中で詰まるのが怖い……」と思うかもしれません。
でも、途中で止まるのは むしろ普通 です。
プロの作家でも「何を書けばいいかわからない」と悩むことはよくあります。
「途中で止まるのは当たり前」と思えば、気楽に書けますよ。
──喫茶店のテーブルで──
陽太「毎日10分……か。でも、書きたいことが思いつかない日とか、忙しい日はどうすれば?」
玲奈「そういうときは、『昨日の続きを書く』だけでもいいよ。あと、1行だけでもOKにするとかね。」
陽太「1行だけでいいの?」
玲奈「うん。むしろ、1行だけならハードル低いでしょ? でね、不思議なことに、『1行だけ』って思って始めると、気づいたら何行も書いてることが多いんだよ。」
陽太「あ、それわかるかも。仕事のメールとかでも、『ちょっと書こう』って思ってたら、意外と長くなることあるし。」
玲奈「そうそう! だから、とにかく書くことが大事なんだよ。」
4. 文章力を上げるための具体的なテクニック
① 読みやすい文章を意識する
小説は「読まれること」が前提なので、 スラスラ読める文章 が重要です。
そのために意識すべきポイントは次の3つ。
• 一文を短くする(30〜40文字程度が理想)
• 難しい言葉を使わない(読みやすさ優先!)
• 主語と述語の関係をはっきりさせる(「誰が、何をしたのか」が明確な文章にする)
② 「五感」を使って描写する
小説の魅力のひとつは、「読者がその世界に没入できること」。
そのために、 五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)を使った描写 を意識しましょう。
例:普通の描写
彼はコーヒーを飲んだ。
例:五感を使った描写
彼はコーヒーを口に含んだ。ほろ苦い液体が舌の上を滑り、かすかに焦げたような香りが鼻腔を満たす。
このように 五感を意識するだけで、文章の臨場感が一気に増します。
──喫茶店での会話──
陽太「文章って、こんなに細かいことを意識しないとダメなのか……。」
玲奈「いやいや、最初から完璧にやろうとしなくていいんだよ。ただ、ちょっとずつ意識していけば、自然に文章が上手くなる。」
陽太「なるほど……。でも、やっぱり自分の文章がつまらない気がするんだよな。」
玲奈「それなら、もっと『五感』を使って書いてみるといいよ。ほら、今飲んでるコーヒーを文章にしてみて。」
陽太「えっ、いきなり?」
玲奈「うん。やってみなよ!」
5. 小説を書きたいなら、今日から書こう!
「小説を書きたい!」と思ったら、 今すぐにでも書き始めること が一番大切です。
最初は下手でもいいんです。
とにかく 書き続けること で、どんどん上達していきます。
今日から実践できること
1. 書きたいジャンル・テーマ・キャラクターをざっくり決める
2. 最初の一行にこだわらず、思いついたシーンから書く
3. 毎日10分だけでも書く習慣をつける
4. 五感を使った描写を意識する
「小説を書きたい」と思ったあなたが、 実際に書き始めるきっかけ になれたら嬉しいです。
──喫茶店「白昼夢」、帰り際──
陽太「なんか……ちょっと書ける気がしてきた。」
玲奈「お、いいね! じゃあ、次に会うときまでに1シーン書いてみなよ。」
陽太「……わかった! とりあえず1行書くところから始めてみる!」
玲奈「そうそう、その調子! じゃ、またね。」
陽太はカフェを出ると、スマホを取り出し、メモアプリを開いた。
そして、最初の一行を入力する──
「雨の降る夜、彼は静かに銃を構えた。」
小説の世界は、すでに始まっていた。
【第三部】小説の世界を広げる──プロットと構成の作り方
──喫茶店「白昼夢」にて──
玲奈「へぇ、書き始めたんだ。で、どんな感じ?」
陽太「……最初の一行は書けた。でも、そこからどう続ければいいのか、さっぱりわからない。」
玲奈「あー、それね。よくあるよ。最初のシーンは浮かぶけど、次が思いつかなくて止まるやつ。」
陽太「そうそう! なんか、場面ごとにポツポツとは思い浮かぶんだけど、どうつなげたらいいのか……。」
玲奈「だったら、ざっくりしたプロットを作ってみたら? いきなり全部決めるんじゃなくて、大枠を考えておくと、次に何を書けばいいかが見えてくるよ。」
陽太「プロット……。それってどうやって作るの?」
6. 小説のプロットを作る方法
小説をスムーズに書くためには、 大まかな流れ(プロット) を考えておくことが大切です。
ただし、プロット作りにもいろいろな方法があるので、自分に合ったやり方を見つけるのがポイント。
① ざっくり「三幕構成」で考える
映画やドラマ、小説でよく使われる 「三幕構成」 という考え方があります。
• 第1幕(序盤):主人公の現状、事件の発生、物語の方向性を決める
• 第2幕(中盤):問題が複雑化し、主人公が葛藤する
• 第3幕(終盤):クライマックスと結末
これを使うと、「物語のどの部分を書けばいいか」が明確になります。
例:ハードボイルド探偵モノ
• 第1幕:探偵のもとに依頼人が訪れる。「夫が失踪しました」
• 第2幕:手がかりを追ううちに、裏社会の組織が絡んでいると判明
• 第3幕:組織の陰謀を暴き、夫の行方を突き止める
たったこれだけでも、もう小説の骨組みができています!
──喫茶店のテーブルで──
陽太「なるほどなぁ。最初に大きな流れを決めておけば、何を書けばいいか迷わなくなりそう。」
玲奈「でしょ? でもね、人によっては『プロットがあると逆に書きにくい』っていう人もいる。」
陽太「えっ、そうなの?」
玲奈「うん。書きながら考えたほうが楽しいってタイプの人もいるから、やりやすい方法を見つけるのが大事だよ。」
陽太「俺は、ある程度決めたほうが安心できるかな……。」
玲奈「じゃあ、次はもっと細かく考えてみようか。」
7. 章ごとの流れを決める「ビートシート」
三幕構成で全体の流れを決めたら、次は「章ごとに何を書くか」を決めると、さらに書きやすくなります。
おすすめなのが 「ビートシート」 という方法です。
これは、ストーリーの重要な場面(ビート)をリストアップして、 どの章で何が起こるか を整理するもの。
ビートシートの例
1. オープニング:探偵のもとに依頼人が来る
2. 第1の手がかり:夫の行方を探るが、怪しい影がつきまとう
3. 危機1:調査がバレて、探偵が狙われる
4. 真相のヒント:夫の失踪には大きな陰謀が隠されていたと判明
5. クライマックス:探偵が真相を暴き、依頼人の運命を変える
こんな感じで 「ここでは何を書くのか」 を整理しておけば、迷わずに書き進められます!
──再び、喫茶店にて──
陽太「おぉ……なんか、ちゃんとした小説っぽくなってきた気がする!」
玲奈「でしょ? こうやって整理しておくと、途中で詰まりにくくなるんだよ。」
陽太「でもさ、ストーリーを決めすぎると、逆に書くのがつまらなくなったりしない?」
玲奈「それもあるね。だから、決めすぎないのがコツ。『この場面でこういうことが起こる』くらいにして、あとは書きながら考えるのもアリだよ。」
陽太「うんうん、柔軟に考えながらやってみる。」
玲奈「いいね! じゃあ、次はキャラの行動にリアリティを持たせるコツでも話そうか。」
陽太「それ、めっちゃ知りたい!」
次のパートでは 「キャラクターの行動や心理描写をリアルにするコツ」 や 「小説を面白くするテクニック」 を解説していきます。
まだまだ続きますよ!
【第四部】キャラクターを生き生きと動かす──行動と心理描写のリアリティ
──喫茶店「白昼夢」にて──
陽太「プロットの作り方はなんとなくわかった。でもさ、いざ書き始めると、キャラが動かないっていうか……なんか、セリフもぎこちないし、行動が嘘っぽくなるんだよな。」
玲奈「あー、それ、けっこうみんな悩むやつだね。キャラが『作者に動かされてる』感じがしちゃうと、読者も違和感を覚えるんだよ。」
陽太「そうそう! なんか、自分で書いてても『これはありえないな』って思っちゃうことが多い。」
玲奈「うんうん、わかる。でもね、それは『キャラの思考と行動がズレてる』からかもしれないよ。」
陽太「……どういうこと?」
玲奈「キャラの行動って、すべて『そのキャラの価値観』から生まれるんだよ。つまり、まずは『このキャラならどう考えるか』をちゃんと理解しないと、リアルな行動が書けないってこと。」
8. キャラクターをリアルに動かすためのコツ
キャラクターを自然に動かすためには、まず 「キャラが何を大事にしているか」 を明確にすることが重要です。
これが決まっていないと、どんな場面でも「なんとなく動かされているキャラ」になってしまいます。
① キャラクターの「軸」を決める
登場人物がどんな行動をするかを決めるとき、 「このキャラなら、こう考えるはず」 という軸が必要です。
たとえば、以下のように考えてみましょう。
キャラクター
大事にしているもの
典型的な行動
冷静な探偵
真実を追求すること
感情に流されず、常に理論的に行動
熱血な刑事
正義を貫くこと
ルール無視でも悪を裁こうとする
内向的な天才
他人に理解されない恐怖
他人と距離を取りながら独自の方法で問題解決
たとえば、 「真実を最優先する冷静な探偵」 なら、どんなに危険な状況でも冷静に分析しようとするし、
「感情で動く熱血刑事」 なら、衝動的に敵に突っ込むかもしれません。
この「キャラの軸」がしっかりしていれば、行動がブレにくくなり、リアリティのある動きになります。
──再び、喫茶店にて──
陽太「なるほどなぁ。でもさ、キャラの性格を決めても、どうやってセリフに落とし込めばいいんだ?」
玲奈「それなら、キャラの『口癖』とか『話し方のクセ』を決めるといいよ。ほら、現実でも話し方って人それぞれ違うでしょ?」
陽太「あぁ、たしかに。丁寧に話す人もいれば、ぶっきらぼうな人もいるし。」
玲奈「そうそう。だから、キャラの口調を意識するだけでも、セリフが生き生きするよ。」
陽太「うーん……具体的にどうやればいい?」
玲奈「簡単なのは、キャラごとに『話し方のルール』を作ることかな。」
9. キャラクターのセリフを自然にする方法
セリフがリアルに感じられるためには、以下の3つのポイントを意識すると良いです。
① キャラごとに「話し方のルール」を作る
キャラの口調に個性をつけるには、 「話し方のルール」 を決めるのが有効です。
例えば、こんなルールを考えてみましょう。
キャラのタイプ
話し方の特徴
具体例
冷静な探偵
断定的な口調、無駄がない
「推理は感情ではなく、論理に基づくものだ。」
おちゃらけた相棒
砕けた口調、軽口を叩く
「いやいや、マジでやばいって、これ!」
ミステリアスな人物
抽象的な言い回し
「全ては流れのままに……だ。」
こういうルールを作っておけば、キャラのセリフが自然とブレなくなります。
② 「情報を詰め込みすぎない」
初心者がやりがちなミスとして、 「セリフで説明しすぎる」 という問題があります。
たとえば、こんなセリフは不自然です。
NG例:説明過多なセリフ
「私は刑事で、今から君を逮捕する。なぜなら君が昨夜10時にこのビルにいたのを目撃した人がいるからだ。」
リアルな会話は、もっと短く、リズムがあるものです。
OK例:シンプルで自然なセリフ
「お前、昨夜10時……ここにいたよな?」
短くするだけで、キャラの個性や空気感が出やすくなります。
──喫茶店のテーブルで──
陽太「なるほどなぁ……たしかに、今までの俺のセリフ、めっちゃ説明くさかったかも。」
玲奈「最初はみんなそうだよ。『これも伝えなきゃ!』ってなって、つい詰め込んじゃうんだよね。」
陽太「でも、削りすぎると情報が足りなくなる気もする……。」
玲奈「そういうときは、セリフじゃなくて『動き』で見せるのもアリだよ。」
陽太「動き?」
玲奈「たとえば、さっきの刑事のシーンだったら、『刑事がポケットから写真を取り出し、机に置く』みたいな描写を入れると、セリフに頼らなくても情報を伝えられる。」
陽太「なるほど、アクションと組み合わせるってことか……。」
玲奈「そうそう! そうすると、読者も自然に情景を想像できるから、没入感が増すんだよ。」
次のパートでは 「文章全体の流れを良くするコツ」 や 「読者を引き込む展開の作り方」 についてさらに深掘りしていきます。
物語を書く上で重要な「リズム」と「読者の引き込み方」、しっかり解説していきますよ!
【第五部】読者を引き込む文章の流れと展開の作り方
──喫茶店「白昼夢」にて──
陽太「キャラのセリフのコツはなんとなくわかってきたけど、やっぱり書いてると文章の流れが悪くなる気がするんだよな。」
玲奈「あー、それはね、リズムと構成が噛み合ってない可能性がある。」
陽太「リズム?」
玲奈「そう。小説の文章って、読者がスムーズに読めるように、 『リズム』がめちゃくちゃ大事 なのよ。文章の長さや改行のタイミング、言葉の選び方ひとつで、読みやすさが変わるんだよね。」
陽太「確かに、読んでて『ここ、テンポ悪いな』って感じる小説ってあるかも……。でも、どうすればリズムが良くなる?」
玲奈「じゃあ、具体的に『文章の流れを良くする技』を教えていこうか!」
10. 読みやすい文章の「リズム」と「流れ」
文章の流れを良くするためには、以下の3つのポイントを意識すると効果的です。
① 文の長さに変化をつける
一定の長さの文章ばかりだと、読者は 「単調で退屈」 に感じてしまいます。
悪い例(すべて同じ長さ)
改善例(リズムに変化をつける)
彼はドアを開けて中に入った。部屋は静かだった。窓の外には雨が降っていた。彼はポケットから銃を取り出した。
彼はドアを開けた。部屋は静かだ。雨音だけが響く。ポケットに手を入れ、冷たい金属の感触を確かめる。
文章の長さを 短・長・短 のように変えると、リズムが生まれ、自然に読み進めやすくなります。
② 改行を意識する
「一文が長すぎる」「情報が詰まりすぎている」と感じる場合、改行を入れると読みやすくなります。
悪い例(改行なし)
改善例(改行あり)
彼は暗闇の中を進んだ。足元の床は濡れている。何かが動く気配がした。彼は息を潜めた。緊張が走る。次の瞬間、何かが襲いかかってきた。
彼は暗闇の中を進んだ。足元の床は濡れている。 何かが動く気配がした。 彼は息を潜めた。 緊張が走る。 そして次の瞬間── 何かが襲いかかってきた。
改行を入れることで、読者の視線が止まり、 「次に何が起こるのか?」 という期待感を生むことができます。
③ 重要な言葉を「単独で配置」する
読者の印象に残したい言葉やシーンは、 改行して単独で配置する ことで効果が増します。
普通の文章
強調したい場合
彼は銃を構え、静かに狙いを定めた。トリガーを引いた。
彼は銃を構えた。 狙いを定める。 トリガーを引いた。
こうすることで、 映像的な演出 を取り入れられます。
──喫茶店のテーブルで──
陽太「おお……確かに、読みやすくなってる!」
玲奈「でしょ? 文章って、情報を詰め込むんじゃなくて、 『読者にどう感じてもらうか』 を意識して書くと、ずっと読みやすくなるんだよ。」
陽太「でもさ、リズムが良くても、やっぱり『面白い展開』が作れないとダメだよな……。」
玲奈「そこはまた別の技があるんだよ。次は『読者を引き込む展開の作り方』を教えてあげる。」
陽太「それ、めっちゃ知りたい!」
11. 読者を引き込む「展開」の作り方
読者を物語に引き込むためには、 「先を読みたくなる仕掛け」 を作ることが大切です。
ここでは、プロの作家もよく使う 「展開を面白くする技」 を紹介します。
① サスペンス要素を入れる
物語の途中に「謎」や「違和感」を入れることで、読者の興味を引くことができます。
普通の展開
サスペンスを加えた展開
彼は部屋に入った。そこには誰もいなかった。
彼は部屋に入った。そこには誰もいなかった──はずだった。 だが、机の上には 温かいコーヒー が置かれていた。
こうすると、読者は 「えっ? 誰かがいた?」 という疑問を持ち、続きが気になってしまいます。
② どんでん返しを仕込む
「こうなるだろう」と思わせておいて、意外な展開にすることで、強いインパクトを生みます。
予想通りの展開
どんでん返しのある展開
主人公は敵を倒し、事件は解決した。
主人公は敵を倒し、事件は解決した。 だが、次の瞬間── 倒したはずの敵が笑った。 「お前、まだ気づいていないのか?」
こういった仕掛けを作ると、読者は「この先、どうなるんだ?」とワクワクしながら読み進めてくれます。
③ クリフハンガーを活用する
章の終わりや重要な場面で、 「続きが気になる状態」 にすることで、読者の興味を維持できます。
普通の章の終わり
クリフハンガーを使った章の終わり
彼はドアを開けた。そして部屋に入った。
彼はドアを開けた。そして部屋に入った。 すると、そこには 信じられない光景 が広がっていた。
このように、 「読者がページをめくりたくなる状態」 を作るのがポイントです。
──再び、喫茶店にて──
陽太「これ……めっちゃ使えそう!」
玲奈「でしょ? こういう技を使うだけで、小説が一気に『続きが気になる物語』になるんだよ。」
陽太「いやー、さっそく試してみたくなってきた!」
玲奈「いいね! じゃあ、次は『世界観の作り方』について話そうか。」
陽太「おお、それも重要そう!」
次のパートでは 「魅力的な世界観を作る方法」 や 「設定の深め方」 を解説していきます。
ファンタジー、SF、ミステリー、どんなジャンルでも使える「世界観の作り方」、しっかり解説していきますよ!
【第六部】魅力的な世界観を作る──読者を引き込む「設定」の極意
──喫茶店「白昼夢」にて──
陽太「文章の流れとか展開の作り方は少し掴めてきた気がする。でもさ、俺が書きたいのって、現実の話じゃなくて……もっとこう、別の世界観を作るようなやつなんだよな。」
玲奈「お、つまりファンタジーとかSF寄り?」
陽太「そうそう。俺、そういう世界観の作り込みがすごい小説が好きなんだよ。でも、いざ自分で作ろうとすると、設定ばっかり考えちゃって、話が全然進まなくなる。」
玲奈「あるあるだね! 設定沼にハマるやつ。」
陽太「やっぱり、細かい設定って最初から全部考えておいたほうがいいの?」
玲奈「ううん、むしろ、必要な部分だけ決めておくほうがいいよ。『設定を活かすコツ』を教えてあげる。」
12. 世界観を作るときに意識すべきポイント
小説の世界観を作るとき、 「細かく決めすぎる」と逆に書けなくなる ことがあります。
そこで、 「物語に必要な部分だけを決める」 ことを意識しましょう。
以下の3つのポイントを抑えれば、 シンプルかつ魅力的な世界観 を作ることができます。
① 世界の「ルール」を決める
ファンタジーやSFの世界では、 「この世界の常識」 を明確にすることが重要です。
例えば、以下のようなルールを決めるだけで、世界観に説得力が生まれます。
ジャンル
ルールの例
ファンタジー
魔法は「マナ」というエネルギーを消費しないと使えない
SF
人間はAIと融合することで超人的な能力を得られる
異世界転生
すべての人間は「ギフト」と呼ばれる特殊能力を持って生まれる
近未来
世界は「企業国家」に支配され、政府は存在しない
こういった 「独自のルール」 を1つ決めるだけで、その世界ならではの魅力が生まれます。
② 地理・文化・歴史をざっくり設定する
細かい地図や年表を作るのは大変なので、まずは 「物語に必要な情報だけ」 を決めましょう。
設定要素
例
地理
主な舞台は「空に浮かぶ島」
文化
貴族は「竜」を飼うことがステータス
歴史
100年前に「魔法戦争」があり、文明が衰退した
経済
この世界では「魔法の結晶」が通貨として使われる
こうして 「世界の骨格」 を作っておけば、物語に説得力が増します。
③ 読者がすぐに理解できる「フック」を入れる
新しい世界を作るとき、読者が 「すぐにイメージできる要素」 を入れると親しみやすくなります。
フックの例
説明
「現実に似た部分」を入れる
「この世界の食事は、日本の江戸時代と似ている」
「現代の概念をアレンジする」
「スマホの代わりに、水晶で情報をやり取りする」
「ユニークな職業を作る」
「この世界には『夢を盗む職人』がいる」
こういった 「読者がすぐにワクワクする要素」 を最初に入れると、興味を引きやすくなります。
──喫茶店のテーブルで──
陽太「なるほど……。確かに、最初から細かく作り込もうとしなくてもいいんだな。」
玲奈「うん。むしろ、物語を書きながら『必要な設定を追加していく』ほうが楽しいし、続けやすいよ。」
陽太「でもさ、設定を作るのはいいけど、それをどうやって物語の中で説明すればいいんだ?」
玲奈「いい質問! それが次のポイント、『自然な世界観の見せ方』なんだよ。」
13. 世界観を「説明しすぎず」に読者に伝える方法
せっかく世界観を作っても、 「説明が多すぎる」と読者は飽きてしまいます。
そこで、 「物語の流れの中で自然に説明する」 方法を意識しましょう。
① 「説明しすぎる文章」はNG
小説では、 「説明ではなく、シーンの中で世界観を伝える」 ことが重要です。
悪い例(説明過多)
改善例(自然な描写)
この世界では、魔法は「マナ」というエネルギーを消費して使う。マナは個人の体内に蓄積されており、魔法を使いすぎると枯渇する。
彼は呪文を唱えた。しかし、体の奥で何かが切れる感覚がする。マナが尽きかけている──このままでは、次の魔法は撃てない。
説明するのではなく、「キャラの体験として」見せる のがポイントです。
② 「会話の中」で自然に説明する
キャラクター同士の会話を使うと、説明がスムーズになります。
悪い例(ナレーションで説明)
改善例(会話で説明)
この国では、貴族だけが「竜」を飼うことが許されている。
「おい、平民のくせに竜を連れてるのか?」 「……違う。こいつは、俺が拾ったんだ。」
このように、 「キャラの会話の中で説明を入れる」 と、読者も自然に理解できます。
③ 「読者に考えさせる余白」を作る
世界観のすべてを説明するのではなく、 「あえて説明しない部分を残す」 ことで、読者の想像力を刺激できます。
すべて説明する場合
余白を作る場合
彼の剣は「オリハルコン製」で、伝説の王が使っていた武器である。
彼は剣を抜いた。刃が月光を反射し、まるで生き物のように輝く。
読者が 「この剣にはどんな秘密があるんだろう?」 と考える余地を作ることで、より没入感のある物語になります。
──喫茶店のテーブルで──
陽太「おお……! たしかに、説明しすぎるとくどいけど、こうやって見せ方を工夫すればいいのか。」
玲奈「そうそう! 読者に『考えさせる』のも、小説の面白さのひとつだからね。」
陽太「じゃあ、次はどうしよう……設定もできたし、文章の流れもわかったし……。」
玲奈「次は……そうだな、『物語を最後まで書き切るコツ』 を教えてあげようか。」
陽太「それ、めっちゃ知りたい!」
次のパートでは 「物語を途中で挫折せず、最後まで書き切る方法」 について解説していきます。
ラストまで書き切る力をつけるための「コツ」と「考え方」、しっかり解説しますよ!
【第七部】物語を最後まで書き切る──途中で挫折しないためのコツ
──喫茶店「白昼夢」にて──
陽太「世界観の作り方もわかってきたし、設定をどう見せるかもだいぶ整理できた。でもさ……やっぱり一番の問題は、最後まで書き切れないことなんだよな。」
玲奈「あー、それは小説を書く人の永遠の課題だね。最初はワクワクして書き始めるけど、中盤で失速して、そのまま放置……みたいなパターン?」
陽太「まさにそれ! なんか、中盤でダレてくるんだよ。『この展開でいいのかな?』って迷ったり、『面白くなってるのか?』って不安になったり……。」
玲奈「うんうん、それはね、『途中で迷わない仕組み』を作るとかなり改善するよ。」
陽太「仕組み?」
玲奈「そう! 物語を最後まで書くためには、途中で迷わないための工夫 が大事なんだよ。」
14. 物語を途中で挫折しないための「書き切る技術」
小説を最後まで書くためには、以下のポイントを意識すると 途中で迷わずに進められる ようになります。
① 物語の「ゴール」を先に決めておく
途中で迷わないために、 最初に「どう終わるのか」を決めておく ことが重要です。
ゴールの決め方
例
エンディングの種類を決める
「主人公は犯人を捕まえるが、自分の正義を見失う」
最後の一文を考える
「彼は静かに煙草に火をつけた──もう、振り返ることはない。」
クライマックスのシーンを決める
「主人公が敵と対峙し、最終決戦を迎える」
このように、 「この物語はここに向かって進む」 という目標を決めておくと、途中で迷いにくくなります。
② 「書く順番」にこだわらない
小説は 「最初から順番に書くもの」 と思い込んでいませんか?
実は、 「思いついたシーンから書く」 ほうがスムーズに進むこともあります。
順番通りに書く場合
シーンごとに書く場合
「最初から順番に書こうとして、途中で詰まる」
「書きたいシーンを優先して書き、あとでつなげる」
たとえば、 クライマックスの戦闘シーンを先に書いておく と、「ここに向かうためにはどうすればいいか?」が見えてきて、前の展開も作りやすくなります。
③ 「仮のプロット」を作りながら進める
物語の途中で 「この展開でいいのか?」 と迷うことがありますよね?
そういうときは、 「ざっくりしたプロット」を作りながら書く と迷わずに進められます。
プロットの作り方
例
章ごとに「やることリスト」を作る
「第3章では、主人公が真犯人の手がかりを見つける」
シーンの目的を明確にする
「この場面では、主人公の成長を描く」
「次に何を書くか」を一行メモしておく
「次は、ライバルとの対決シーンを書く!」
プロットを細かく作りすぎず、大まかに進めるのがポイント!
──喫茶店のテーブルで──
陽太「なるほど……。確かに、『順番に書かなきゃ』って思い込んでたかも。」
玲奈「そうそう。映画とかも、クライマックスのシーンを先に撮影することがあるし、小説も同じでいいんだよ。」
陽太「でもさ、途中でモチベーションが下がることもあるんだよな……。書き始めたときの熱量を保つにはどうすればいい?」
玲奈「それはね、『自分を飽きさせない工夫』が大事!」
陽太「自分を飽きさせない?」
玲奈「そう。次は、その方法を教えてあげるよ。」
15. モチベーションを保ちながら書き続けるコツ
小説を書いていると、 「最初は楽しかったのに、途中で飽きる」 ということがよくあります。
そこで、 モチベーションを維持するための工夫 を取り入れましょう。
① 「小さな達成感」を積み重ねる
大きな目標だけではなく、 「小さな達成感」 を感じられる仕組みを作ると、続けやすくなります。
方法
例
1日○文字を書くと決める
「毎日500文字書く」
1シーンずつ区切る
「今日は主人公が敵と出会う場面を書く」
書いた分をチェックして進捗を確認する
「これまでに10,000文字書いた!」
「少しずつでも前に進んでいる」ことを実感できると、モチベーションが続きやすくなります。
② 「読者を想定する」
「自分のために書く」のも大事ですが、 「誰かが読んでくれることを想像する」 と、やる気が出やすくなります。
方法
例
友人やSNSで「書いてる!」と宣言する
「小説を書き始めました!」
書いたものを誰かに読んでもらう
「最初の2,000文字を読んでもらう」
「このシーンを読んだら読者はどう思うか?」を考える
「ここで驚かせたい!」
読者の反応を意識すると、「もっと面白く書こう!」という気持ちが湧いてきます。
③ 「物語の続きを知りたくなる仕掛け」を作る
途中で飽きるのは、 「次に何が起こるかわからなくなる」 から。
そこで、 「自分が続きを知りたくなる仕掛け」 を作るのも効果的です。
方法
例
ラストの展開をぼんやり決めておく
「最後は衝撃の結末にする」
伏線を仕込んでおく
「途中で意味深なアイテムを登場させる」
書いていて楽しいシーンを先に書く
「バトルシーンだけ先に書く!」
「早く続きを書きたい!」と思える仕掛けを作ることで、モチベーションを維持できます。
──喫茶店のテーブルで──
陽太「おお……! これなら最後まで書き切れそうな気がしてきた!」
玲奈「いいね! じゃあ、次は……そうだな、『書いた小説をより面白くする推敲テクニック』でも話そうか?」
陽太「それめっちゃ知りたい!」
次のパートでは 「小説をより面白くするための推敲・編集テクニック」 について解説していきます。
より完成度を高めるための「リライトのコツ」、しっかり掘り下げていきますよ!
【第八部】小説をより面白くする──推敲・編集テクニック
──喫茶店「白昼夢」にて──
陽太「よし、最後まで書き切る方法もなんとなくわかった。でもさ、ここでまた問題が……。」
玲奈「ん? 何?」
陽太「書いたはいいけど、読んでみると『なんか違う』って思っちゃうんだよ。微妙にダサいというか、イマイチ面白くないというか……。」
玲奈「あー、それは推敲不足かもね。書き終えたばかりの原稿って、たいていは未完成なものなんだよ。」
陽太「えっ、プロの作家でも?」
玲奈「もちろん! 一発で完璧な原稿を書ける人なんてほとんどいないよ。だからこそ、『推敲(すいこう)』がめちゃくちゃ大事 なの。」
陽太「なるほど……じゃあ、具体的にどうやって推敲すればいい?」
16. 推敲の基本ステップ
推敲とは、「より読みやすく、より面白くするために文章を磨き上げる作業」 です。
いきなり全体を直そうとすると大変なので、以下の 「3段階方式」 で進めるのがオススメです。
① 第一段階:誤字脱字・文法ミスをチェック
まずは、基本的なミスを修正します。
チェックするポイント
例
誤字・脱字
「彼は拳銃を構えた」→「彼は剣銃を構えた(誤字)」
主語と述語が合っているか
「彼が店に入ると、雨が降っていた(?)」
文法の不自然さ
「彼はドアを開けながら、銃を構えた(動作が矛盾)」
この段階では、文章の意味を変えずに「ミスを直すこと」が目的 です。
② 第二段階:文章のリズムと表現を磨く
次に、文章がスムーズに読めるように調整します。
悪い例(冗長な文章)
改善例(スムーズな文章)
彼は、暗闇の中を、静かに、慎重に歩いていた。
彼は暗闇を慎重に歩いた。
彼はドアを開けた。そして中に入った。
彼はドアを開け、中へ足を踏み入れた。
「削れる言葉はないか?」 を意識すると、文章が引き締まります。
③ 第三段階:物語全体の流れを見直す
最後に、ストーリー全体をチェックし、より面白くするために調整します。
チェックポイント
例
展開が単調になっていないか
「同じようなシーンが続いていないか?」
伏線がちゃんと回収されているか
「序盤の伏線をラストで活かせているか?」
キャラクターの行動が不自然でないか
「この場面で本当にこのキャラはこう動くだろうか?」
この段階で、「もっとこうしたほうがいい!」というアイデアが出てきたら、積極的に改善しましょう。
──喫茶店のテーブルで──
陽太「うわー……俺、いきなりストーリー全体を直そうとしてたから、めっちゃ大変だったのか……。」
玲奈「そうなんだよ。だから、『細かいミスを直す→文章を磨く→全体の流れを見る』って順番でやると、負担が少ないし、クオリティも上がる!」
陽太「でもさ、推敲って地味だし、途中で飽きそう……。」
玲奈「あ、それなら『推敲を楽しむコツ』も教えてあげようか?」
陽太「えっ、推敲って楽しめるものなの?」
玲奈「もちろん! ちょっとした工夫で、かなり楽しくなるよ。」
17. 推敲を楽しむための工夫
① 「声に出して読む」
文章は 「声に出して読むと違和感に気づきやすい」 です。
読みやすい文章
読みにくい文章
彼は部屋に入った。重たい空気が流れている。
彼は部屋に入り、重たい空気がそこには漂っていた。
「実際に誰かが話しているように聞こえるか?」 を意識すると、文章がより自然になります。
② 「時間を空けて読み直す」
書いた直後に推敲すると、客観的に読めません。
1日~数日置いてから 読み直すと、冷静に修正ポイントを見つけられます。
すぐに推敲する場合
時間を空ける場合
「自分の文章に慣れてしまい、ミスに気づきにくい」
「冷静に読めるので、改善点がよく見える」
時間を空けることで、「ここ、ちょっと違うな」と気づきやすくなります。
③ 「別のフォント・レイアウトで読む」
文章を 「違う視点で見る」 ことで、新たな気づきを得られます。
方法
効果
スマホで読む
PC画面と違う見え方で、新鮮に感じる
フォントを変える
書体が変わると違和感に気づきやすい
紙に印刷する
アナログで読むと、推敲の精度が上がる
文章の「見え方」を変えると、意外なミスや改善点が見つかります。
──喫茶店のテーブルで──
陽太「えっ、推敲ってこんなにいろんな工夫ができるんだ!」
玲奈「でしょ? 地味な作業だと思われがちだけど、いろんな方法を試すと楽しくなるよ。」
陽太「特に『声に出して読む』っていうのは、すぐに試せそうだな……。あとは、スマホで読んでみるのもやってみようかな。」
玲奈「うんうん、ぜひやってみて!」
【第九部】読者に読んでもらうための戦略──届ける工夫と発信方法
──喫茶店「白昼夢」にて──
陽太「よし、推敲のやり方もだいたいわかった! でもさ、書いた小説って、そのあとどうすればいいんだ?」
玲奈「お、ついにそこに来たね!」
陽太「せっかく書いたんだから、誰かに読んでもらいたいんだけど……どうやったら読者に届くの?」
玲奈「うん、それにはいろんな方法があるよ。『どこで公開するか』 と 『どうやって読者を増やすか』 を考えることが大事!」
陽太「どこで公開するか……って、やっぱり小説投稿サイト?」
玲奈「そう! それが一番手軽で、読者を増やしやすい方法だね。まずは『どんな投稿サイトがあるか』を見てみようか!」
18. 小説を公開できる場所を知ろう
小説を書き上げたら、 「どこで公開するか」 を決めることが大事です。
公開方法には 「小説投稿サイト」「個人ブログ」「電子書籍」 など、いくつかの選択肢があります。
① 小説投稿サイト
まずは、読者が集まりやすい 「小説投稿サイト」 に投稿するのがオススメです。
サイト名
特徴
小説家になろう
国内最大級の小説投稿サイト。異世界ファンタジー系が人気。
カクヨム
KADOKAWA運営。コンテストが多く、出版のチャンスあり。
アルファポリス
読者との交流がしやすく、ランキング機能がある。
ノベルアップ+
文章にイラストや動画を埋め込める新しいタイプの投稿サイト。
メリット:
✅ 読者がすでにいるため、読んでもらいやすい
✅ コンテストなどで書籍化のチャンスがある
✅ 他の作家との交流ができる
デメリット:
⚠ 競争が激しく、埋もれやすい
⚠ 人気ジャンルに偏りがある(異世界・恋愛が強い)
② 個人ブログやSNSで発信
「投稿サイトだと埋もれそう……」と思うなら、 個人ブログやSNS を活用するのもアリ。
方法
メリット
デメリット
ブログで公開
自分の好きなスタイルで書ける
読者を集めるのが難しい
Twitter(X)で連載
拡散されやすい
140字制限がある
noteで公開
おしゃれなデザインで読ませやすい
収益化しづらい
特に Twitter(X) は 「短編小説」 や 「連載形式」 で発信すると、バズることもある!
③ 電子書籍で出版
本格的に書いた小説は、 「電子書籍」 として販売することも可能!
プラットフォーム
特徴
Amazon Kindle
誰でも簡単に電子書籍を出せる。
楽天Kobo
日本国内の電子書籍市場でシェアあり。
Bookwalker
KADOKAWA系の電子書籍ストア。
電子書籍にすると、 「作品を商品として売る」 ことができるのが大きなメリット!
──喫茶店のテーブルで──
陽太「へぇー、投稿サイトだけじゃなくて、ブログやSNS、電子書籍っていう手もあるんだな。」
玲奈「うん! どれを選ぶかは自由だけど、最初は 『投稿サイト+SNS』 を組み合わせるのが一番いいよ。」
陽太「なるほど……でも、ただ投稿するだけで読者が増えるの?」
玲奈「ううん、それがね……ただ投稿するだけじゃダメなんだよ。『どうやって読者を増やすか』 を考える必要があるんだよね。」
陽太「やっぱりか……。どうすればいい?」
玲奈「じゃあ次は、『読者を増やすコツ』 を教えてあげるよ!」
19. 読者を増やすための戦略
小説を公開したら、「どうやって読者を増やすか」 を考えることが重要!
以下の方法を組み合わせると、読者が増えやすくなります。
① 投稿の「タイミング」を考える
読者が多くアクセスする時間帯に投稿すると、読まれる確率がアップ!
時間帯
読者が多い理由
朝(7:00~9:00)
通勤・通学時間でスマホを見る人が多い
昼(12:00~13:00)
休憩時間に読まれやすい
夜(20:00~23:00)
帰宅後のリラックスタイム
特に 「夜の20時~23時」 は、読者が多くなるゴールデンタイム!
② SNSで「宣伝+交流」する
ただ投稿するだけではなく、SNSで作品をアピール すると読者が増えやすい!
方法
効果的なアクション
投稿時にTwitter(X)で告知
「#小説家になろう」「#カクヨム」などのタグをつける
他の作家と交流する
いいね・コメントで繋がると相互読者が増える
短い小話を投稿する
「1ツイート小説」などで作品の雰囲気を伝える
読者とコミュニケーションを取ると、リピーターになってくれる可能性が高い!
③ タイトルとあらすじを工夫する
どんなに面白い小説でも、「タイトル」と「冒頭」が微妙だと読んでもらえない」 !
要素
NG例
OK例
タイトル
「異世界転生した俺」
「異世界転生した俺、実は最強の料理人だった」
あらすじ
「主人公が異世界に転生する話」
「料理の腕しかない平凡な男が、異世界で伝説のシェフに!」
「どういう物語なのか?」が ひと目で伝わるタイトルとあらすじ を考えると、読者が増えやすい!
──喫茶店のテーブルで──
陽太「なるほど……。確かに、ただ投稿するだけじゃなくて、『どうやって読んでもらうか』を考えるのが大事なんだな。」
玲奈「うん! せっかく書いた小説だから、できるだけ多くの人に読んでもらいたいよね。」
陽太「よし、投稿サイトに載せつつ、Xとかでも宣伝してみるか!」
玲奈「いいね! じゃあ、次は……『フィードバックの受け取り方と成長するためのコツ』について話そうか?」
陽太「それ、めっちゃ知りたい!」
次のパートでは 「読者の反応を活かして、もっと良い小説を書く方法」 について解説していきます。
フィードバックの受け方や、批判への対処法など、しっかり掘り下げていきますよ!
【第十部】フィードバックを活かして成長する──読者の反応との向き合い方
──喫茶店「白昼夢」にて──
陽太「よし、小説を投稿して読んでもらう方法はなんとなくわかってきた。でもさ、そこでまた不安が……。」
玲奈「なに?」
陽太「読者の反応ってさ、どう受け止めればいいんだろう? いい感想ならいいけど、もし悪い評価とか批判的なコメントが来たら、正直めっちゃ凹みそう……。」
玲奈「あー、それね。確かに、初めての感想ってすごくドキドキするし、悪い意見があると気にしちゃうよね。でもね、フィードバックは『小説をもっと良くするための材料』なんだよ。」
陽太「材料?」
玲奈「そう! どんな意見も、受け取り方次第で成長のチャンスになるんだよ。じゃあ、フィードバックの種類と向き合い方を教えてあげる!」
20. フィードバックの種類と受け取り方
小説を公開すると、いろいろな読者の反応が返ってきます。
しかし、それらを 「すべて真に受ける」のはNG!
フィードバックには種類があり、 「活かすべき意見」と「スルーすべき意見」 を見極めることが大切です。
① 役に立つフィードバック
これは 「小説をより良くするために活用できる意見」 です。
タイプ
例
どう活かす?
具体的な指摘
「このシーン、もう少し緊迫感が欲しい」
表現を強化したり、展開を工夫する
疑問点の指摘
「このキャラ、最初と性格が違いすぎない?」
キャラ設定を見直す
読者の感想
「ここ、めっちゃハラハラした!」
どの部分が刺さったのか分析する
具体的なフィードバックは 「改善ポイントのヒント」 になるので、積極的に活用しましょう!
② スルーすべきフィードバック
一方で、「気にしすぎないほうがいい意見」 もあります。
タイプ
例
どう対応する?
抽象的な批判
「つまらない」「なんか微妙」
具体性がないので無視する
単なる好みの違い
「俺はこういう話、好きじゃない」
その人の趣味なので気にしない
誹謗中傷
「お前の小説、ゴミ」
ブロック&スルーが最適解
こういう意見にいちいち傷つく必要はありません!
③ フィードバックを活かすための「フィルター」
読者の意見を全部取り入れようとすると、逆に作品がブレてしまいます。
だからこそ、「この意見は活かすべきか?」 を見極めるフィルターを持つことが大事!
チェック項目
YESなら活用!
意見が具体的か?
「もっとこうすると良くなる」という提案がある
複数の読者が同じ指摘をしているか?
何人も同じことを言うなら、改善の余地あり
自分の意図とズレていないか?
作品の方向性を崩さないか確認
このフィルターを通せば、本当に役立つ意見だけを取り入れられる!
──喫茶店のテーブルで──
陽太「なるほど……。たしかに、全部の意見を気にしてたらキリがないもんな。」
玲奈「そうそう! だから、『いい意見だけをピックアップする』 って意識が大事だよ。」
陽太「でも、実際に批判的なコメントを見たら、やっぱり凹みそうだな……。」
玲奈「うん、それはね、作家なら誰でも通る道。でも、批判への向き合い方を知っておけば、そんなに怖くなくなるよ!」
21. 批判に負けずに書き続けるメンタルの作り方
小説を書いて公開すると、どんなに良い作品でも 「必ず批判されることがある」 ものです。
でも、批判に負けて書くのをやめるのはもったいない!
ここでは、批判に負けないためのメンタル術 を紹介します。
① 批判は「人気の証拠」
まず大前提として、批判が来るのは、それだけ読者がいる証拠!
状態
読者の反応
無名のとき
ほとんどコメントがつかない
少し注目される
「面白い!」「もっと続きが読みたい!」という感想が増える
人気が出る
「これは好きじゃない」「こういう展開はダメ」という批判が来る
つまり、批判が出てくるのは「作家として成長している証」 なんです!
② 批判的な意見に「感謝」する
もし、批判コメントを見つけたら、こう考えてみましょう。
普通の反応
メンタル強化バージョン
「うわ、酷いこと言われた……」
「ちゃんと読んでくれてるんだな!」
「こんなにボロクソに言われるなんて……」
「逆に興味を持ってもらえたってことか!」
「批判する=それだけ強く感情を動かされた」ってことなので、ある意味、作品が刺さっている証拠です!
③ 「書く理由」を再確認する
批判で落ち込んだら、「なんのために小説を書いているのか?」を思い出しましょう。
書く理由の例
効果
自分が楽しむため
読者の反応を気にせず書ける
誰かの心を動かしたい
批判よりも「喜んでくれる読者」を大事にできる
プロを目指すため
どんな反応も「成長の糧」と考えられる
「批判されても、俺は書く!」という強い気持ちが、長く続けるための秘訣です。
──喫茶店のテーブルで──
陽太「うん……批判されるのも、作家として成長してるって考えれば、ちょっとは気が楽になるかも。」
玲奈「そうそう! それに、どんな人気作家でも批判されるんだから、気にしすぎるのは損だよ。」
陽太「よし、もし批判されたら『俺も一歩成長したんだな』って思うことにする!」
玲奈「いいね! じゃあ、次は……そろそろ総まとめに入ろうか?」
陽太「そうだな! ここまでいろいろ学んできたし、最後にもう一度、全部整理したい!」
次のパートでは 「小説を書くための総まとめと、これからのステップ」 を解説していきます。
これまで学んだことを総整理し、「今日から何をすべきか?」 を具体的に示していきます!
【第十一部】小説を書く旅の始まり──すべての作家志望者へ贈るメッセージ
──喫茶店「白昼夢」にて──
陽太「ふぅ……ここまで、めちゃくちゃ濃い話を聞かせてもらったな。」
玲奈「でしょ? もう、小説を書ける準備は完全に整ったんじゃない?」
陽太「……ああ。最初はただ『書きたいけど、何から手をつけていいかわからない』って状態だったのに、今はもう、すぐにでも書きたくなってる。」
玲奈「それが一番大事。書きたい気持ちを持ち続けることが、作家にとっての最大の武器だからね。」
陽太「でも……やっぱり、ちょっと不安もある。書き始めても、途中でまた挫折しちゃうんじゃないかって。」
玲奈「大丈夫。最初は誰だって不安だし、うまくいかないこともある。でもね、『書き続ける人』だけが、物語を完成させることができるんだよ。」
陽太「書き続ける人だけが……か。」
玲奈「そう。だから、もし途中で迷ったり、行き詰まったりしたら、この会話を思い出して。」
陽太「……そうだな。」
玲奈「さぁ、そろそろ出発の時間だね。」
陽太「出発?」
玲奈「そう。作家としての旅が、いよいよ始まるんだから。」
22. すべての「小説を書きたい人」へ──未来の作家たちへ贈る言葉
① あなたの物語は、あなただけが書ける
この世界には、 まだ誰にも書かれていない物語が無限にある。
その物語を生み出せるのは、あなただけ。
「こんな話があったら面白いのに」
「こういうキャラクターを動かしたい」
そんな想いがあるなら、それは すでに小説を書く準備ができている ということ。
あなたの中にある物語は、あなたが書かなければ この世に生まれることはない。
だから、迷うことなく、今すぐ書き始めよう。
② 小説は「書いたもの勝ち」
よく言われるのが、「小説は才能がある人だけが書けるもの」 という誤解。
でも、そんなことはない。
小説は、書いた人が作家なのだ。
完璧じゃなくてもいい。
最初は下手でもいい。
書き続けることで、文章はどんどん上達していく。
「才能があるから書く」のではなく、
「書くからこそ、才能が開花する」のだ。
だから、怖がらずに書いてみよう。
③ 物語を書くことは「未来の読者」との出会い
小説を書くことは、未来の読者との出会いのきっかけ を作ることでもある。
あなたの物語を読んで、誰かが笑い、誰かが泣き、誰かが勇気をもらうかもしれない。
そんな 「見えない誰かの人生に影響を与える」 のが、小説を書くということ。
今はまだ、誰も読んでくれないかもしれない。
でも、書き続けていれば、いつか 「あなたの物語を待っていた」 という読者に巡り会える。
だからこそ、あなたの物語を この世界に送り出してほしい。
──喫茶店の扉の前で──
玲奈「じゃあ、そろそろ私は行くね。」
陽太「あれ、もう帰るのか?」
玲奈「うん。今日の話を聞いたら、もう大丈夫そうだから。」
陽太「……たぶん、これからも迷うことはあると思う。でも、今日はっきりわかったよ。」
玲奈「何が?」
陽太「『書かなければ、何も始まらない』ってこと。」
玲奈「……いいね。その言葉、忘れないでね。」
陽太「ああ、絶対に。」
玲奈は軽く笑って、喫茶店の扉を押し開いた。
その向こうには、まるで新しい物語の始まりを告げるような、眩しい日差しが降り注いでいた。
陽太は深く息を吸い、スマホのメモアプリを開く。
指先が画面の上を滑り、文字を打ち込む。
「彼はゆっくりとペンを握りしめ、物語の最初の一行を書いた。」
──小説を書く旅は、ここから始まる。
あなたの物語も、今日から始めてみませんか?
《完》
【補足】今日から始められる「小説執筆プラン」
最後に、「小説を書きたいけど、どう進めればいいかわからない」という人のために、具体的なステップ を整理しました。
ステップ
やること
1日目
書きたいジャンル・テーマを決める
2日目
主人公のキャラ設定を考える
3日目
最初のシーンを1,000字書く
4日目
物語のラストシーンを決める
5日目〜10日目
1日1,000字ずつ書く(計10,000字)
11日目以降
物語を進めつつ、推敲も始める
20日目
小説投稿サイトにアップする
このプランを参考に、今日から小説執筆を始めてみよう!
【あとがき】──この世に「つまらない物語」なんてない
最後に、ひとつ伝えたいことがあります。
「つまらない物語」なんて、この世に存在しない。
どんな物語にも、必ず価値がある。
それは、その物語が あなたという唯一無二の存在から生まれたものだから。
書くことに迷ったら、
書くことに悩んだら、
思い出してください。
「物語を生み出せるのは、世界でたったひとり──あなたしかいない」
だから、どうか、あなたの物語をこの世界に届けてください。
きっと、どこかで誰かが、あなたの物語を待っています。
さぁ、物語を紡ごう。
あなたの筆で、新しい世界を生み出そう。
──あなたが書くべき物語は、すでにあなたの中にある。